うらやすドキュメンタリーテークvol.14「フツーの仕事がしたい」土屋トカチ監督によるトークショー

4月10日(土)、各回の上映終了後に監督の土屋トカチさんによるトークショーが行われました。トークでは作品の裏話などもお話頂くとともに、トーク後の質疑応答も活発に行われました。

-土屋トカチ監督によるご挨拶

千葉県では、昨年11月に千葉中央で開催されたちば映画祭以来で、浦安は初めてです。
この作品は完成したのが2008年6月、映画館で公開したのが同年10月で、その後全国の映画館16か所、自主上映は今日現在で95か所ぐらい上映してもらっています。公開から1年半近く経っていますが、配給会社がつかないまま、自分たちの仲間うちで上映活動を続けてきました。
国内の映画賞には縁がなかったんですが(笑)、海外では英国のレインダンス映画祭のドキュメンタリー部門(おそらく日本人では初)、昨年末のドバイ国際映画祭アジア・アフリカドキュメンタリー部門でそれぞれ最優秀賞を頂きました。ドバイで会ったインド人には、「日本だけでなく世界中で起こっている問題で、むちゃくちゃ働いても幸せになれない人はたくさんいて、そういう世界の人たちの心に響く作品だ」といわれました。
おかげさまで来月はトルコの映画祭での上映が決まりました。

よくある質問に最初に答えておきますと、
皆倉さんの前歯がどうして途中から抜けていたのかということについて-
皆倉さんは25~26歳のときから前歯が抜け入れ歯をしていたようです。入院中、体重が17キロ減り、歯ぐきもやせてしまったため、入れ歯が合わなくなってしまったとのこと。そのため、入院中は入れ歯を入れられず、退院後、新しい入れ歯をつくったとのことです。お客さんで歯科医の方がおっしゃっていましたが、過酷な長時間労働やストレスを抱え、そのうえ不規則な食生活を続けていれば、20代でもこうした状況になるようです。

<以下は質疑応答>
- もともとユニオンから依頼されたんですか、あるいは個人で制作されたのですか?

もともとユニオンからこうした映画を作ってくれと言われたわけではありません。もしものための証拠用ビデオ作成として、プロとして付き合いのあった私に撮影をお願いされたのが始まりです。その後、いろんな事件があって、作品の中にも出てきた住友大阪セメント本社前にスクリーンを設置して上映した20分ぐらいの映像を作成するところまでが依頼でした。そのあとは、この小さなユニオンだけの問題ではないという意識から、個人的にお願いして自腹で撮り続けました。

- 撮影の上で、脅迫されたり、警察などの介入・弾圧はなかったんですか?

一番怖かったのが葬儀場でのシーンですね。相手のボディガードに「地下室に行こうか。」と何度も言われました。それ以外は行政や警察からの大きな妨害はありませんでした。

- 映画に出てくる会社からも上映に対しての圧力はありませんでしたか?

圧力も応援も特にありませんでした。(中間下請け会社の)フコックス社は、社長がHPでこの作品を紹介していたと聞いています(笑)。

- 葬儀場に取り囲まれた時、すぐに警察が来たんですか?

すぐには来てくれませんでした。助けを呼びましたが、周りの人も遺産相続か何かのトラブルだと思ってか、遠巻きに見ているだけでした。何とか警備室に駆け込んで警察を呼んで、その後10分ぐらいで来てくれました。
警察からは最初「お前たちも殴ったんだろう」と言われましたが、映像が証拠になりました。映像がなければ喧嘩両成敗でうらむやになったかもしれません。困ったことがあればビデオに撮っておくと役立つと思います(笑)。

- 他にユニオンに加入する人はいなかったんですか?

撮影中はいませんでした。皆倉さんと一緒に相談に来られた方はいたが、会社にまるめこまれたのか、途中で来なくなりました。労働組合に入ることは、対等に話し合う場をつくるのが目的だと思うんですが、それは会社に歯向かうことだという意識がある方が多いですね。対等で人間であることを忘れて、雇ってもらっている、命を助けてもらっているようになっているので大変危険なことだと思います。
クアトロ物流でもいまだに組合員は皆倉さん一人でその勇気はすごいと思います。作品で出ていた別会社の同僚は、あらたしい会社で組合をつくったが、皆倉さんが立ち上げに関わった。最近では、フコックスでも、3人でユニオンをつくったそうですが、中心になって動いたのがやはり皆倉さんであり、状況は変わりつつあるのかなと思います。

- 上映にあたって肖像権の問題は大丈夫だったんでしょうか?

撮影時、近い人には撮っている旨を伝えていましたが、映像作品として公開していることはあえてこちらから伝えていません。会社関係者の方は知らない人もいるかもしれません。いつも思うことなんですが、肖像権の考え方も大切ですが、命の危機に瀕している人のほうが大切であって、私は命と肖像権を天秤にかけて、(肖像権のことで)何か言われたら、その時に話し合えばよいと思ってモザイクもつけず上映を続けています。いまのところ、特に訴えられたりしたことはありません。訴えられれば、その時に話し合えばよいと思っていますし、そもそも訴えるほうは規則を守っているのか、ということも言えると思っています。

- 労災への申請はされたんですか?

申請を行いましたが、発症したクローン病自体、原因不明の難病でもあり、因果関係がはっきできず、結局認定されませんでした。

- 東都運輸の社長や工藤さんのその後を教えて下さい?

工藤さんは作品でピースサインをしていた時の撮影が最後です。社長はほかにもいくつか運送会社を持っているようで、そこの経営をされているようです。

- クローン病になった主人公(皆倉さん)はその後どうされているんですか?

作品にも出ていたクアトロ物流でいまも勤務されています。食事制限がありお酒や根菜類、脂っこいものは食べられないとのことですが、元気に生活されています。いまでもときどき会います。

- こうした過酷な労働環境への圧力は、別の形でかけられていると聞いていますが、そうした新たな問題について作品を作る予定はありますか?

取材させて頂ける方がいれば撮りたいと思っています。今回もいろんな人との出会い、縁でできた作品なので、そういった人々との出会いがあれば撮りたいと思います。

- 最後は、関西人らしく(笑)、関連グッズのご紹介をしっかりされていました。以下、一部ご紹介しますので、ご関心ある方は是非お買い求め下さい!土屋トカチ監督、どうもありがとうございました!!

☆パンフレット代わりのブックレット: 『ユニオンつくって、生きさせろ!』 500円
☆挿入歌(マーガレットズロース「ここで歌え」)が入ったアルバム:『DODODO(どどど)』 2100円
★ドキュメンタリー映画 「フツーの仕事がしたい」: 公式ブログ

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第6回うらやすドキュメンタリー映画祭