SF・ミーツ・ドキュメンタリー!

「ロボサピエンス」

SF映画研究家 Dr.G.Hotter(G・ホッター)

このコラムはSF meets documentary がテーマで、SFはsciencefiction(空想科学)という定義を前提にして、ここまでSF 映画に関するコラムを書いてきた。SFという呼称に関してはspeculativefiction(思索的小説)、sciencefantasy等とする場合もあり、故・藤子・F・不二夫氏は「少し不思議」と定義している。

今回の「ロボサピエンス」は映画関連ではなくドキュメンタリー専門番組のディスカバリーチャンネルで放映されたもので、現実に存在する様々なロボットを紹介したものである。世の中に出回って活躍中のロボ君たちが出てくる訳なので、ぜ~んぜんfictionではなくnonfictionということであり、言わばscience fact と言うべきものだ。

ではなぜ取り上げるかというと、ここに登場しているロボがあまりにSF (空想科学)的なルックを纏っているので、それが何故なのか今回はその分析をしてみようという試みなのだ、エッヘン。

ここには様々なヒューマノイド型(人間のような形をした)ロボや、玩具のロボ等が登場し、どのように開発されたかといった解説が科学者によってなされている。「二足歩行ロボットの誕生では」自動車メーカーHONDAが開発したヒューマノイドのアシモの開発秘話、「経験から学んで成長する学習ロボット」では統計によって人間の動きを学習するDBというロボ、「表情と感情を持ち人間と意思疎通が可能なロボット」ではMIT人工知能研究所が開発したキズメット等。その他SONYの愛玩用犬型ロボAIBO等、様々なロボを紹介している。ここには出てこなかったがWILDCATという四足で馬のようにパカランパカランと走るロボも現実に存在し巷では話題になってもいる。こういったロボたちの姿はなんとSF映画的であることか。巷のSF映画に出演しても全く違和感がない。

人間そっくりの姿をしたロボットも登場するがリアルすぎてもはや薄気味悪い。余談ではあるが、こういった人間をリアルに模した物体はある一線を超えると人はそれを不気味だと感じるのだという。これを「不気味の谷」と呼ぶ。

そもそもロボットという言葉が登場したのは1920年で、チェコの作家カレル・チャペックによる戯曲「R.U.R.」からであった。その瞬間からロボットは少なくともフィクションの中ではテクテク、スタスタと歩いていた訳だ。ところがギッチョン現実の世界ではそうはいかなかった。ロボットの二足歩行は科学者の悲願であったが遅々として進まなかった。それを成し遂げたのが日本の自動車メーカーだったというのはとてもスンバラスィ~ン。

「アシモ」は二足歩行できるようになるまで20年もかかっている。このようなロボに対する日本人の情熱は半端ではない。勿論外国の方の情熱もそうであるのだが、日本人の場合そうなるべき必然があった!言わずもがな日本は元々ロボットアニメや特撮ロボを中心とするロボ大国だったからである。

鉄腕アトム、鉄人28号にはじまりマジンガーZ あたりをベースとし、合体の元祖ゲッターロボ、プラモデルが大ブームを巻き起こしたリアルロボット路線ガンダムやマクロス、ダグラム、ボトムズ、社会現象となったヱヴァンゲリヲン(←これはロボットとは少し違うが。)、児童漫画からはドラえもん、特撮ではジャイアントロボ、レッドバロン、マッハバロン等の巨大ロボ、人間のお友達ロボコン、そして○○レンジャー等の戦隊モノでは後半必ず巨大ロボにヒーローが乗り込み巨大化した怪人を倒すのがセオリーだ。そしてアニメ、実写両方で映像化されたパトレイバー等々。

そんなこんなで日本の特に男子達は小さい頃からTVでロボットやサイボーグに馴染み、ブリキロボットに始まり超合金や、ジャンボマシンダー、変身サイボーグ等の玩具と戯れ、幼少からロボ文化を刷り込まれたせいで、すっかり知らず知らずの内に全身これロボットと化してしまったのである。

そういう人達が大人になって、その時の情熱のままにロボット開発に勤しんでいるのである。つまりヒューマノイド型が開発されたり、姿がSF的であるのは必然なのである。このロボット業界においてもまたもや映画やTVによって未来が提示され、世の中がそちらに歩み寄っていったという事なのだと思う。これもまたsciencefictionとしてのSFの大きな役割である。

このロボサピエンスを見てヒューマノイドの進化と日本のロボ文化の影響、SFがsciencefactでもあることを感じて頂きたい。

さてハリウッドでは「トランスフォーマー」シリーズや「パシフィックリム」シリーズ等の巨大ロボ映画が大人気である。ああ、外国の男子も日本のロボに影響を受けてたのか!!

※2017年発行サポーター通信の原稿を一部修正

「ロボサピエンス」50分
監督:ジル・マーシャル

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