SF・ミーツ・ドキュメンタリー!

「メイキング・オブ・E.T.」

SF映画研究家 Dr.G.Hotter(G・ホッター)

2019年に「E.T.」のリバイバル上映を観る機会があったのでフラ~っと映画館に行ってみた。映画館で観るのは小学生の時以来であった。子どもの時には「面白かった!」と思ったが泣くことはなかった。しかしオッサンになってから観たら不覚にも泣いてしまうという…。改めてこんな感動的ないい映画だったんだ、と思った次第。(もしくはたんに自分が老化したせいで涙腺が緩んだのかも知れない。)

E.T.(The Extra-Terrestrial)は「孤独な少年と地球に取り残されてしまった宇宙人との友情を描いた映画」だ。なんてことのない話に思えるかも知れないが、これが天才スピルバーグ監督の手にかかれば、児童映画の枠を軽々と越え、時代を超えた名作になってしまう。スピルバーグは77年に「未知との遭遇」を世に放ち、友好的な宇宙人と人類のコンタクトを描いた。そして更にそれをもっと個人的な視点を持って推し進めたのが「E.T.」だった。実際「未知との遭遇の続編としてE.T.を作った」と仰っている。それまでの映画は宇宙人=侵略者=悪い奴、というのが定番だった訳だが、E.T.の登場によって宇宙人=ともだち=いい奴とその後の映画の傾向が真逆になってしまったのだから凄い。例によって「スターマン」「コクーン」「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」「ニューヨーク東8番街の奇跡」のような友好的宇宙人を描いたもの、まんまE.T.から頂きの「マック」「帰ってきたE.T」(☜本家とは全く関係ない。)、宇宙人ではないがE.T.っぽいキャラクターが登場する「ショート・サーキット」(☜ロボ)のような作品も次々と公開された。日本のバラエティ番組で「いーてふ」等のパロディも登場した。宇宙人=いい奴説は96年に映画「ID4(インデペンデンス・デイ)」が登場し、宇宙人=やっぱり悪い奴説が唱えられるまで継続した。

さてE.T.の凄さはその造形にある。E.T.は老人(シワの感じ)や猫等の要素からデザインされた訳だがお世辞にもかわいいとは言えない。むしろグロテスク極まりないものだ。しかし映画が始まって暫くするとその愛嬌のある仕草等によってかわいいと思わせてしまう。E.T.は当時の最高峰の技術でもって、着ぐるみ、機械仕掛けの人形、手のアップ時は特殊メイクを施した女優の手、声はだみ声の婆さん等あらゆる技を駆使して作り上げられた。今見てもまるで「生きている」ようにしか見えない。あのリアリティがなければあそこまでヒットする事はなかったであろう。造形は「未知との遭遇」「キングコング(76年版)」「エイリアン」「ポゼッション」等で知られるカルロ・ランバルディの職人技である。私もE.T.のぬいぐるみを持っていたがあれはどこに行ってしまったのか。

02年に「E.T.20周年アニバーサリー特別編」が公開され最新のCGIでE.T.の動きに更なるリアリティを加え5分間の未公開シーンも追加された。ハリソン・フォードが小学校の校長を演じたシーンも追加対象だったが、オリジナルに手を加えすぎとの判断で復活しなかった。しかしこの特別編は大衆に受け入れられず、今では無かったことにされている。オリジナルのままで十分「生きていた」ので手を加えないで、そのままにしておいてほしいという事だったようだ。これ以後スピルバーグは古い作品に手を加える事はやめたとの事。
E.T.のBlu-rayソフトには映像特典として「メイキングオブE.T.」「E.T.制作記録」「E.T.の誕生秘話」等が収録され上記の内容等が語られている。

そして2019年E.T.は37年の時を超え、4分間のCMとして復活した。米コムキャストのインターネットサービス「Xfinity」が制作したもので、映画で主演の少年を演じたヘンリー・トーマスが出演している。メイキングも公開されており、E.T.の造形はCGIも使われてはいるが、基本的には実物のモデルを使用して作られたそうだ。まるで続編のようだと話題になっているのでE.T.世代の方にはぜひご覧頂きたい。

「メイキング・オブ・E.T.」
ドキュメンタリー映画 / 37分
監督:ローレン・ボズロー
出演:スティーヴン・スピルバーグ、ヘンリー・トーマス他

Facebookページ
Twitterをフォロー
うらやすドキュメンタリー映画祭のTwitterをフォロー
第8回うらやすドキュメンタリー映画祭